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オペラ交流広場-4- 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール


オペラ愛好会結成5年後に、関西でも有数の風光明媚な地として知られているびわ湖の畔に魅力的な劇場が誕生したのは1998年。その名は滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール。

手元にある「STAGE」というびわ湖ホールの公演チケット情報のVOL.1には1998年9月5日開館と記してあり、関西で初の4面舞台を有した大ホールで上演されたボローニャ歌劇場の来日公演はオープニング・オペラとして開館を飾り、今日では西日本のオペラの殿堂とも言うべきびわ湖ホールのスタートでした。(公演チケット情報「STAGE」はこの3月で226号)

愛好会歴の長い方でしたら、ボローニャ歌劇場の公演に合わせて当時びわ湖ホールの向かいにあった大津商工会議所内の会議室で、5回目の総会を開催したことの記憶が残っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

びわ湖ホールは滋賀県が保有する県立劇場として、初年度より自主制作による公演をはじめ独自の創造的・独創的活動を展開して今日に至るまで、西日本の中心的な音楽活動拠点としてその役割を十二分に発揮しています。その活動は大・中・小の3つの個性あるホールでの充実した公演の開催のみならず、音楽が人生の中で大切な部分となることを実感できる環境づくりを常に心がけて運営にあたっています。

もちろんオペラは国内屈指のオペラ劇場として、初代芸術監督の故若杉弘さんのヴェルディ・シリーズに始まる「びわ湖ホール プロデュースオペラ」シリーズ、続いて2代目の芸術監督である沼尻竜典さんの「沼尻竜典オペラセレクション」シリーズも加わって、大規模な自主制作オペラを年間2作品のペースで上演しています。その中でもワーグナー作品はその柱でもあり、これまで「トリスタンとイゾルデ」「タンホイザー」「ワルキューレ」「さまよえるオランダ人」と続き、今年はいよいよ「リング」4部作の新制作上演が始まりました。

質の高いオペラ公演には、関西の地元のみならず関東方面をはじめ全国の熱心なオペラファンが常に多数来場しています。これらの充実したオペラ上演だけでも大変立派なのですが、びわ湖ホールが行う活動にはクラシック音楽の裾野を広げるということにも力を注いでいます。オペラ入門講座や公演に先立っての事前学習のためのゼミナールなどによる啓蒙活動も意欲的に行っています。中でもオペラ講座は劇場上演される演目のほぼ全てで行われています。更に指揮者育成のセミナーや歌手育成の歌曲研修なども公開で行い、将来の力ある音楽家の育成にも広く関わっています。

びわ湖ホールの特色の一つとして絶対に欠かせないのは何と言っても「びわ湖ホール声楽アンサンブル」です。ホールの開館と同時に設立された声楽アンサンブルは全国から厳しいオーディションを経て選ばれた実力あるメンバーが揃い、日本初の公共ホール専属の声楽集団として多角的な活動を展開しています。アンサンブルは常に高い水準を保ち、これまで60回を超える定期公演などを通してその実力は全国的に高く評価されているのみならず、在籍期間を終了したメンバーの中には、藤原歌劇団などの国内のトップ級のオペラ劇場での公演の主役を担うほどの歌手まで誕生させています。

声楽アンサンブルの活動の中で特筆したいのは、県内全域を巡演するオペラ巡回公演や学校訪問コンサートなどで、次世代への音楽教育活動は県内事業にまで発展していることです。これらの諸活動が評価されて、新国立劇場が招聘する優秀な地域オペラ公演として、今年の夏には上演機会が大変少ないサリヴァンの「ミカド」が新制作でオペラ公演される予定です。

日本一美しい湖畔の景観に加えてシドニーのオペラハウスが思い浮かぶような素敵な外観と、鑑賞者が快く鑑賞できる諸設備が充実した劇場内部の美的空間。その中で上演されるハイレベルな公演と、音楽の素晴らしさを伝えるための様々な啓発活動の充実は劇場の表舞台だが、それらを支える裏舞台としてのパートナー作りの工夫も見逃せません。
ホールを支えるための「友の会」や「シアターメイツ」の会員組織に加えて「舞台芸術基金」の呼び掛け等、びわ湖ホールの活動は未来の我が国における音楽環境づくりの手本になるものだと感じました。

びわ湖ホールの諸活動の様子について熱く語るびわ湖ホールの初宿(しやけ)さん。県の職員とは言え、自らの若いころの音楽体験をも踏まえての力強い言葉は止まりませんでした。びわ湖リングの上演日と重なり、大変お忙しい中にあっても丁寧な説明と熱き想いを伺いました。通り一遍のお役所仕事的ではないその言動から伝わってきたのは、音楽をこよなく愛する姿勢であり、正にびわ湖ホールの強さの秘密を垣間見たようでした。

びわ湖ホールの持つ底力は、20年間の着実な実績とホールを支えるスタッフの皆さんの熱心な活動に裏付けられたもの。これまで新幹線等を利用して毎年劇場へ足を運んでいる音楽ファンは、これからも益々びわ湖ホールの大ファンになるような予感を抱きながらホールを後にしました。  (K)


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